弁護士BLOG

2015.06.26更新

別居後はどうやって決めたらいいの?

婚姻費用は,家族がその資産・収入・社会的地位等に応じた通常の社会生活を維持するために必要な費用であり,夫婦が互いに分担することになっています。

別居にあたって,あらかじめ夫婦間の契約書や公正証書等により具体的な婚姻費用の分担の合意がなされていた場合,その合意はもちろん有効になります。ですから,夫婦の間の私的な合意であれば民事訴訟で判決を得て,公正証書であれば強制執行を通じて権利の実現を図ることができます。

では,別居にあたって特段合意がなかった場合,別居後の婚姻費用はどのように決めたら良いのでしょうか。

まず,別居後であっても夫婦の間で協議してお互いが婚姻費用について合意できれば,以後,合意した金額の婚姻費用を相手から支払ってもらうことができます。もし夫婦で直接協議することができないときは,弁護士が間に入って交渉することもできます。そのうえで,相手が合意したにも関わらず支払わなかったときや途中で支払いを停止したときは民事訴訟で判決を得て強制執行をすることになります。

次に,協議することができない場合や協議しても合意できない場合は,家庭裁判所に婚姻費用分担の調停を申し立てて,調停委員を交えて金額を決定していくことになります。そこで婚姻費用の金額が決定すれば,その金額を請求することができます。

もし調停でも決着がつかないときは,自動的に審判手続に移行して家庭裁判所が審判という形で婚姻費用の金額を決定します。夫婦それぞれの収入額,扶養すべき子どもの人数や年齢,その他の事情を考慮して適正な金額が決定されます。

当然のことですが,もし相手が調停や審判で決定した金額を支払わないときは,調停調書や審判書に基づいて強制執行することができます。

実務上,婚姻費用の金額については,いわゆる「標準算定方式」という計算式が提唱されており,標準算定方式をベースに作成された「婚姻費用算定表(以下「算定表」といいます。)」を利用して金額を算出することが多いです。家庭裁判所の調停や審判でも算定表がよく利用されています。また,弁護士が交渉する時も目安として算定表は必ずと言っていいほど確認します。本来,夫婦が互いに納得して婚姻費用の金額を合意できるのが一番ですが,それができない場合はどうしても算定表を利用せざるをえないところがあります。

もっとも,あくまで算定表はひとつの目安に過ぎませんので,算定表を利用することによって,逆に著しく不公平となる事情がある場合には,そのまま利用することはできません。その場合は個別的・具体的な事情を検討して適正な婚姻費用を算出していくことになります。

 

投稿者: 名古屋大光法律事務所

2015.06.26更新

住宅

(1)財産分与の対象になるの?
夫婦生活の場である住宅は財産分与の対象になります。住宅に限らず事業用建物であっても夫婦が結婚生活中に協力して築いた財産である以上,夫婦いずれの名義であるかを問わず財産分与の対象になります。

(2)評価額はどうなるの? 

不動産の評価額は,最終的には不動産鑑定士の鑑定によりますが,鑑定には相当な費用がかかるので実施されることはあまり多くありません。むしろ実際には,市町村役場で取得できる「固定資産税評価証明書」を利用したり,夫婦双方が「不動産業者の査定書」を証拠として提出してその平均値を採用したりすることが多いと思います。

現在ではインターネットを見ると土地や建物の無料査定を実施している不動産業者もたくさんありますので住宅の概算額を把握するには非常に便利です。

特に借地上の建物の場合,建物自体に借地権価額を加算する必要があるので「固定資産税評価証明書」よりは,「不動産業者の査定」を利用したほうが適正な価格を算出することできます。

もっとも,不動産の最終的な価格評価の決定日は,別居時ではなく,裁判の審理が終了する時点とされることが多いですので注意してください。

(3)住宅ローンが付いた不動産はどうなるの?

住宅ローン債務が残っているときの不動産価額の評価方法は,分与時点における不動産の時価からローンの残元金を控除する方法で決定するのが一般的です。たとえば,土地と建物の時価合計額が5000万円,住宅ローンが3000万円であった場合,差額2000万円が財産分与の対象になる不動産価額ということです。

分与の方法としては,夫または妻のどちらかが不動産を取得して住宅ローンの返済を続ける方法,親族等から資金援助による方法も考えられますが,金銭的余裕がない場合には不動産を売却する方法により売却金額を分与することになります。

ちなみに,夫または妻のどちらかが不動産を取得して住宅ローンの返済を続ける場合において,たとえば妻が不動産を取得する代わりに妻が夫から住宅ローン債務を引き受けたとしても,金融機関が債務者の変更に応じることはほとんどありません。

また,離婚に際して住宅ローンの連帯保証を解除するよう要望される方もいらっしゃいますが,金融機関からは新たな担保や連帯保証人の追加が求められるため,やはり実現は困難なことが多いです。

たとえは,夫名義の不動産(時価4000万円),夫名義の住宅ローン(ローン残高3000万円)があった場合に,離婚に際して妻に不動産の取得を認め,かつ,住宅ローンを引き受けさせて,さらに差額1000万円の2分の1である500万円の支払いを命じたとしても,妻が夫に金銭を支払う義務を負うだけで,夫の金融機関への支払い義務が消えるわけではありません。

(4)オーバーローンの不動産はどうなるの?

   不動産を売却する方法により財産分与を検討したとしても,近時は不景気の影響もあって不動産の時価より住宅ローン債務の方が大きいという,いわゆるオーバーローンの状態に陥っていることが多いです。たとえば,土地と建物の時価合計額が2500万円,住宅ローンが3000万円であった場合,不動産評価額はマイナス500万円になってしまいます。このように実質的に不動産の価値がマイナスになっている場合には大きな問題が残ります。

この点について,実務上,オーバーローン住宅だけで他にプラスの資産がない場合は,最初から財産分与を求めない方法が取られています。裁判例でもオーバーローンの不動産は財産分与の対象にならないとする判断が多数を占めています。

では,オーバーローンの不動産はどうなるのでしょうか。裁判例では,夫婦共有名義の不動産がオーバーローンであった場合に,ローン名義人が当該不動産を全部取得した例,あるいは,ローンが夫と妻の連帯債務であった場合に不動産の占有者に不動産全部を取得させ,その代わりにローン債務全部を負担させた例があります。具体的事案によって判断が異なってきますので,詳細については弁護士に相談するようにしてください。

 

投稿者: 名古屋大光法律事務所

2015.06.20更新

監護権者になるには?

監護権者とは、お子さんに対する監護権を持つ親のことです。

「親権とは?」の回で、お伝えしたとおり、親権には2つの内容があります。①身上監護権(お子さんの普段の生活の面倒をみる、子育てをする権利・義務)と、②財産管理権(お子さんの財産を管理したり、法的な手続をする場合に、お子さんを代理する法定代理人となる権利と義務)です。

「監護権」とは、上の①身上監護権のことです。

なお、例えば、夫と妻が両方とも、経済的に苦しかったり、病気でお子さんの面倒が十分にみられないといった事情があるときには、お子さんの祖父母やおじ、おばなどの親族でも良いとされています。

実際に、親権を2つに分けて、監護権者を決めなくてはならないのは、離婚の話合いや調停などの手続で、例えば、夫が、「親権をもらえれば離婚に応じる、でも自分は仕事もあるので、子供の普段の面倒は妻に任せる」といったような場合でしょう。妻としては、「子供と一緒に暮らせるなら、また夫から養育費をもらえるなら、夫の言い分に従った方がいいかもしれない」と思うかもしれません。

しかし、親権の2つの内容は、どちらも、お子さんのために不可欠なものであって、本来、分けるべきではなく、お子さんの普段の生活の面倒を見るのにより適している方が、親権を全部持つのが原則なのです。

また、先ほどの例でも、夫は、親権者でなくても「親」であることに変わりはない以上、お子さんに対する扶養義務があり、養育費を払わなくてはなりません。なので、妻は、養育費をもらうために夫に従う必要はなく、無理に親権と監護権を分けなくてもいいのです。

さらに、いざお子さんに法律的な問題が生じたとき、妻に監護権しかないと、直接対応できないので、親権者である夫に連絡して対応を任せなくてはなりません。夫と直接やりとりするのに時間がかかると、お子さんにとって不利になる場合もあるでしょうし、ご自身にとっても苦痛を感じてしまうかもしれません。

また親権者は、「子の引渡し」を求めることもできるので、いきなりお子さんを渡すよう、求められる可能性もあるのです。

このような理由からしても、安易に親権を分けることは避け、心配なときは弁護士に相談されるとよいでしょう。

なお、例外的に親権を分けることが認められるのは、例えば、離婚の手続が順調に進まず、お子さんが不安な気持ちを抱き続けて、体や精神面に良くない影響が出てしまっているような場合です。このような場合は、できるだけ早く離婚を成立させて、お子さんも新しい生活を始めることができるよう、例外的に、親権者と監護権者を分けることが可能です。

なお、一旦は親権を相手に譲ったとしても、お子さんの面倒を見続けてきたという実績をもとに、将来、「親権者の変更」を申し立てることもできます。いずれにしても、例外的なことで、上に書いたとおりの不都合もありますので、一度、弁護士に相談した上で、決断するのがよいでしょう。

監護権者を決めるには、まずは夫婦の話合い(協議)です。

この話合いができない、話合いをしても決まらない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てます。

投稿者: 名古屋大光法律事務所

2015.06.18更新

別居中、子供に会うためには?

Q 夫の暴言に耐えかねて、やむなく子供を家に置いてきました。

  離婚については、これから話合いをしていく予定です。

  どうしても子供が心配なのですが、携帯などを持たせていないので、直接、連絡できません。夫に連絡するのも怖くて、なかなかできません。

  子供に会うにはどうしたらいいでしょうか?

 

A まだ離婚前ですし、あなたが、お子さんの母親である以上、ご主人とともに親権を持っているので、お子さんに会う権利はあります。お子さんに会う権利のことを、面会交流権(面接交渉権)といいます。

  どうしても、ご自分で、ご主人に連絡できない場合は、弁護士に依頼して、弁護士を通じて、ご主人に連絡をとり、話合いをするか、もしくは、家庭裁判所に、お子さんとの面会交流(面接交渉)の調停を申し立てて下さい。

  

Q 弁護士に依頼するのと、自分で調停を申し立てるのと、どちらがよいのでしょうか?

 

A ご自分で調停を申し立てるメリットは、掛かる費用が少なくて済むということです。

  デメリットは、申立てに必要な書類を自分で準備しなければいけないこと、また、いざ調停が始まったときに、ご主人の意見に言い負かされることなく、きちんと自分の意見、気持ちを調停委員に伝えなくてはいけないことです。

弁護士に依頼するデメリットは、弁護士費用が掛かることですが、メリットは、ご主人との話し合いはもちろん、話し合いがまとまらなかった場合の調停の申立ての準備などの手続を任せることができること、また、調停でも、あなたがうまく話せないときは、あなたの意見を代わりに話したり、法律的に不利なことが出てくれば、指摘することができます。

 

Q 調停を申し立てれば、必ず子供に会うことができるのですか?

 

A 調停で、面会交流が認められるかは、相手が、あなたに会わせてもいいと言っていること、また、裁判所としても、お子さんにとって、あなたに会うことが、お子さんのためになるかどうか、心身ともに負担を掛けないかどうか(法律的には、これを「子の利益、子の福祉」と言います)を判断して、問題がないという場合に認められます。

  なので、調停を申し立てさえすれば、必ずお子さんに会える、というわけではありません。

 

Q もし、夫が、調停でも、私が子供に会うのを拒否したら、どうなるのですか?

 

A 調停での話し合いがまとまらないときは、「審判」という手続にしてもらうことができます。

  審判では、裁判所が、お子さんの利益、福祉の点から、結論を決めてくれます。

 

Q 審判で、私が子供に会えないと決まってしまったときは、もうどうしようもないのですか?

 

A そのようなときには、不服があるとして、即時抗告という手続をとりましょう。

  即時抗告の手続の仕方や費用については、家庭裁判所や弁護士に聞いてみて下さい。

投稿者: 名古屋大光法律事務所

2015.06.16更新

弁護士に頼むべき?頼むと何が違うの?

  離婚を考えている多くの方々が弁護士に相談すべきかどうか悩んでいらっしゃるのではないでしょうか。弁護士に依頼すると高額な報酬が掛かるから,逆に弁護士にお願いすると損になってしまうのではないかと不安に思っている方はたくさんいらっしゃると思います。実際,このような理由から弁護士に依頼しないでご自身で離婚の手続を進めていく方がいるのも事実です。

しかし,離婚を真剣に考えているならば弁護士に相談することをお勧めします。一口に離婚と言っても離婚事件では,離婚以外にも財産分与,慰謝料,親権・監護権,養育費,面会交流などといった様々なことが問題になってきます。しかも,離婚の手続中であれば婚姻費用や生活環境の調整が問題になってきますし,離婚が成立した後でも養育費,面会交流,戸籍関係,公的給付等が問題になってくる場合があります。

弁護士に相談しないで手続を進めることが必ずしも悪いと言い切れませんが,夫婦間で交渉して合意したにも関わらず,後から合意した内容が蒸し返されたり,感情的になってしまいかえって状況を悪化させてしまったようなケースもたくさんありますので注意が必要です。

弁護士であれば離婚事件はもちろん,将来の生活設計まで考慮して,依頼者の方々に少しでも有利な結論を導くように細やかなアドバイスをすることができます。また,相手との交渉,書面の作成,回収業務等も弁護士がすべて行うので,依頼者の方は基本的に会いたくない相手と顔を合わせることなく,離婚手続を進めることができます。

このように離婚の手続を賢く進めるには専門的な法律知識を持った弁護士に相談することが大切になってきます。離婚事件は法律が強く関わってくるものであり,法律知識があるかないかで結論も大きく変わってきます。不利益を受けて離婚をすることがないよう,早い段階から弁護士に相談することをお勧めします。

また,離婚訴訟になった場合,当事者は訴状や準備書面を裁判所に提出しなければならず,書面の内容が裁判所の判断において極めて重要な意味を持ってきます。法律専門家である弁護士が味方につけば,依頼者に代わって弁護士が書面を作成することになりますので,法律的に誤りのない適切な書面を裁判所に提出することができます。さらには,弁護士が裁判所に行きますので,依頼者の方が平日仕事を休んで裁判所に行く必要はないですし,直接相手と顔を合わせなくて良いというメリットがあります。

ちなみに,弁護士に相談すべきかどうかで悩んでいらっしゃる方の中には,行政書士や司法書士に相談したほうが良いのではないかと思っている方もいるかもしれません。しかし,離婚事件を総合的に解決することができるのは弁護士だけです。

離婚事件を取り扱っている行政書士もいますが,行政書士は書類作成の代行権限があるだけで,法律上依頼者の代理人になることができません。ですから,行政書士は,離婚協議書を作成することはできますが,相手との協議,離婚調停,離婚訴訟に関与することはできません。

司法書士は,140万円以下の事件であれば依頼者の代理人になれますので,離婚協議書の作成や140万円以下の慰謝料の請求・交渉はできますが,これを超える慰謝料の請求・交渉はできませんし,離婚調停や離婚訴訟にも関与することができません。

このように,行政書士や司法書士は,離婚事件の一部を取り扱えるだけで離婚調停や離婚訴訟に発展したときは何もできないのです。

一方,弁護士は,離婚協議書の作成はもちろん,依頼者の代理人として離婚協議,離婚調停,離婚訴訟のすべてに対応することができます。つまり,離婚事件のすべてをカバーできるのは弁護士だけですので,弁護士に依頼すればワンストップで総合的に離婚事件を解決することができるということです。

弁護士費用が掛かってしまうのは仕方ありませんが,弁護士に依頼したほうが離婚の手続を有利に進めることができるのは間違いありません。人生の再スタートを真剣に考えていらっしゃる方は,一歩踏み出して弁護士に相談されてはいかがでしょうか。

 

投稿者: 名古屋大光法律事務所

2015.06.14更新

●親権を止めたい!

親権は、お子さんを立派に育てる親の権利ですが、実際には義務である側面が強いです。

それにもかかわらず、最近では、親権を親の権利と強調して、お子さんにしつけの範囲を越えて、ひどい言葉を投げ掛けたり、暴力を振るう虐待や、食事や病気になっても手当をしないなどといった育児放棄が増えています。このような場合は、「親権の濫用」にあたります。

1 親権喪失制度

親権の濫用があったときには、お子さんの親族など(親権を持ってない方の親、祖父母など)が、家庭裁判所に申し立てることにより、親権を奪うことができる「親権喪失」という制度があります。しかし、親権喪失は、親権を無期限に奪ってしまうため、長い将来を考えたとき、親権者だった方の親とお子さんとの関係が断ち切られたままになってしまう恐れがあり、実際にはほとんど申し立てられていません。

2 親権停止制度

こうしたことから、最長2年という期限つきの「親権停止」制度が作られました。親権が、実際にどれくらいの期限で停止されるかは、家庭裁判所が、お子さんの状態や生活状況、その他一切の事情を考慮して決めることになります。親権喪失や停止の審判がされて、親の親権が制限されたとき、家庭裁判所は、申立てによって、未成年後見人(※1)や未成年後見監督人(※2)を選任します。

未成年後見人は、複数人とすることもできます。そこで、お子さんの日々の面倒は、祖父母などがみて、遺産などの財産の管理は弁護士などの専門家が行うというように、より子供の利益を図ることができます。

 

※1「未成年後見人」=親権を行う者がないとき、または親権を行う者が管理権を持たないときに、家庭裁判所が、その未成年者に対して選ぶ後見人。

※2「未成年後見監督人」=未成年後見人を監督する人。

 

3 親権喪失や停止の請求は、お子さん自身や未成年後見人などもできます!  

これまでは、親権喪失などを請求できるのは、お子さんの親族、検察官、児童相談所長(親権喪失のみ)だけでしたが、お子さん本人や未成年後見人、未成年後見人監督人も請求できるようになりました。

投稿者: 名古屋大光法律事務所

2015.06.14更新

親権者を変更したり、止めることはできるの?

●親権者を変更してもらいたい!

協議離婚で、妻(または夫)を親権者と決めて、離婚した場合、後からまた話合いで、親権者を変更することはできません。

また、離婚するときに、例えば「(親権者と決めた妻または夫が)仕事ができなくなったときには、親権者を変更しよう」と事前に約束していたとしても、やはり認められません。

親権者を変更したいときには、変更したいと思っている方が、家庭裁判所に「親権者変更の調停」を申し立てなくてはなりません。

この調停の中で、親権者の変更について、争いがある場合には、家庭裁判所の調査が行われた上で、お子さんにとって、どちらがお子さんのためになるかという、親権を決める基準と同じ基準で、変更が認められるべきかどうかが判断されます。

特に、6つのポイント(親権者決定のポイントについては「母親が親権者になるには?」をお読みください。)のうち、お子さんを、夫婦の一方に渡して、これまでの環境に変化を加えることがお子さんのためになるかどうか、という点が重視されます。

親権者側によほどの落ち度がなければ、親権者の変更によって、お子さんの環境が変化することは間違いないので、簡単に変更は認められません。

もっとも、元親権者と、定期的に会う約束ができる場合には、親権者が変更されて、お子さんの環境が変化したとしても、これまでの環境と全く切り離されるわけではなくなるのですから、変更が認められやすくなることもあるでしょう。

また、実際には、親権者の変更だけでなく、現実として、お子さんをすぐにでも引き取ることが問題になるでしょうから、親権者の変更の調停の申立てと一緒に、「子の引渡しの審判」を申し立てることになります。

投稿者: 名古屋大光法律事務所

2015.06.12更新

前回、家庭裁判所が親権者を判断する場合、調査官による調査があると説明しました。

この調査官の報告書に基づいて、裁判官が判断するため、親権者を決める上で、最も重要な調査になります。

それでは、調査内容を具体的にみていきます。

①父親と母親との面談

調査官は、裁判所に父親と母親それぞれを、裁判所内で面接したり、家庭訪問をし、これまでのお子様の関わや健康面、経済面などを聞きます。

また、これまでの子供が患った病状など詳細に聞かれます。

②学校・幼稚園での調査

調査官は、お子さんの保育園・幼稚園・小学校などにも行って、お子さんの様子を観察したり、担任先生にも話を聞いたりして、夫婦どちらが親権者として適切かを判断します。

学校内での、お子様の発言やお子様の送り迎えは誰が行っていたか、お子様の出席日数や、お子様の服装が清潔か、お子様の提出物などに遅れがなかったか、

授業参観などの父母の状況など、詳細に担任の先生に聞かれます。

③離婚後、同居されるご親族との面談

離婚した場合に、同居される親族による子育てフォローが期待できるか、ご親族の勤務状況、健康面、経済面なども調査します。

④離婚後の子供の生活場所

父親、母親、それぞれが離婚後、子供を預かった場合、十分な生活スペースがあるかなども調査します。

 

なお、夫婦の両方とも、子供への愛情も経済力もあり、普段の面倒もみられるというように、親権者として適切で、どちらか決めにくいような場合には、お子さんの意思を聞くことになります。つまり、お父さんとお母さんのどちらと暮らしていきたいかを聞くことになります。

しかし、親の離婚という大きな問題に直面して、お子さんとしては、お父さんにもお母さんにも気を遣って、その結果、本当のことが言えないこともあるでしょう。そこで、「審判」や「訴訟」では、お子さんが満15歳(すでに誕生日がきて15歳になっている)以上のお子さんのみ、お子さんから意見を聞かなくてはならないとされています。もっとも、お子さんが15歳未満でも、意思を確認できる状況にあるなら、その意思を確認すべきとされています。

当事務所でも6歳以下のお子様でも、その子の意思が重要視され、親権に影響を及ぼしたケースが複数ございます

お子さんの意思を聞いても、それをそのまま受け取って判断すべきかどうかは、裁判所が判断することになります。

投稿者: 名古屋大光法律事務所

2015.06.12更新

どういう手続で決めるの?

①まずは、夫婦の話し合い

夫婦間の話合いで離婚する場合(協議離婚)には、親権者を決めて、離婚届に書かなくては、離婚届が受け付けてもらえないことから、

夫婦の間で話し合って、親権をどちらにするか決めましょう。

 

②話し合いがまとまらない場合は、「家事調停」

話し合っても決まらないときは、家庭裁判所に、「調停」を申し立てます。

「調停」を申し立てる家庭裁判所は、①相手方の住所地か②夫婦が合意で決めた場所にある家庭裁判所です。

「調停」では、お子さんの年齢や生活の状況などをもとに、

裁判所がお子さんのためにはどちらがいいかという第三者の視点を持って、夫婦双方の話合いがまとまるよう助けてくれます。

③調停でもまとまらない場合は、「審判」か「訴訟」になります。

調停での話合いでも決まらないときは、「審判」や「訴訟」という手続の中で、裁判所が親権者を決めることになります。

「審判」や「訴訟」では、家庭裁判所の「調査官」という人が、夫婦のどちらが親権者として適切かを判断し、これをもとに裁判所が判断します。

調査官は、子供の心理面などについても専門的な知識を持つ親権のプロなのです。

 

「審判」や「訴訟」で、裁判所が出した判断に不服があるときは、それぞれ裁判所の判断が書かれた書面(「審判」では「審判書」、「訴訟」では「判決書」)を受け取った日から「2週間」以内に、不服申し立てをして下さい。

不服申し立てには、新たに費用も掛かりますから、同じことの繰り返しにならないためにも、それまでの手続を弁護士に頼まずに来た方も、一度、弁護士に相談されることをお勧めします。

なお、「2週間」の数え方は,受け取った日の翌日が1日目になります。2週間の最終日が、土日や祝日のときには,その翌日が最終日になります。

不服申立期間がいつまでかは、とても大事なことですから、審判や判決があったときには、できるだけ早いうちに、家庭裁判所や弁護士に連絡して、いつまでが期限かを確認した方がよいでしょう。

 

投稿者: 名古屋大光法律事務所

2015.06.11更新

 

父親が親権者になるには?

確かに,母親(妻)が親権を取る場合が圧倒的に多いのが実情です。

(親権者決定のポイントについては、「母親が親権者になるには?」をお読みください。)

もっとも、例外的かもしれませんが、夫が親権を取ることができる場合もないわけではありません。母親の場合以上に、個別的な夫婦間の子育て事情を主張する必要があります。

つまり、妻(母親)の子育てには、問題があるという事情が多く必要なのです。

 

<弁護士の声>

当事務所で夫側の依頼を受けた中で、夫が親権を取ったものが複数あります。

その一例をご紹介します。

そのご夫婦は、夫・妻ともに共働き、9時から17時までフルで仕事をされていて、お子さんは保育園に通っていらっしゃいました。

依頼者だった夫は、共働きなので、家事を分担しました。お子さんの面倒も妻に任せきりなどではなく、きちんと見ていました。

それに対し、妻は、たびたび夜20時過ぎから外出(後から不倫相手と会っていたことが分かりました)することが何回かあり、そのようなときには、夫が必ずお子さんと一緒にいて、寂しい思いをさせないように気を配ってきました。

そして、いよいよ妻の不倫が発覚し、これ以上、夫婦でいることは無理ということで離婚話が持ち上がりました。

こうして、離婚を前提に別居することになり、両方とも実家で暮らすことにして、お子さんは夫と一緒に暮らすことになりました。夫は、妻に、1か月に1回はお子さんと会うことを約束して、妻はその約束どおりにお子さんと会っていたのですが、あるとき、妻が約束を破って、お子さんを勝手に連れ帰ってしまいました。

そこで、私が、お子さんを夫側に取り戻す依頼を受け、結果として、無事取り戻すことができ、調停、訴訟を経て、親権も夫に取って、離婚が成立したのです。

夫側にお子さんを取り戻せたことや親権が取れた大きな理由としては、

・もともと夫がお子さんの面倒をきちんとみてきたこと、

・妻が不倫で夜、外出するといった自己中心的な行動をしてきたのに対し、夫は妻が不倫中もお子さんの面倒をきちんと見てきたこと、

・別居後も一緒に生活してきたこと、

・弁護士が入ったことにより速やかにお子さんを取り戻すことに成功した結果、その後、妻は、お子さんに会っても連れ帰るようなことができなくなったこと、

・お子さんを父親(夫)の下に取り戻した後、離婚の手続が進む間、お子さんは父親(夫)と一緒に安定した生活を送っていたこと、

などの父親(夫)側の実績が認められたからではないかと思います。

 

このように例外的なケースかもしれませんが、小さいお子さんでも、父親(夫)が親権を取れる場合もあるのです。

離婚を決意された場合、一度、自分たちの夫婦では、どちらが親権者として有利か弁護士に相談してみるべきかと思います。

投稿者: 名古屋大光法律事務所

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