弁護士BLOG

2015.06.26更新

住宅

(1)財産分与の対象になるの?
夫婦生活の場である住宅は財産分与の対象になります。住宅に限らず事業用建物であっても夫婦が結婚生活中に協力して築いた財産である以上,夫婦いずれの名義であるかを問わず財産分与の対象になります。

(2)評価額はどうなるの? 

不動産の評価額は,最終的には不動産鑑定士の鑑定によりますが,鑑定には相当な費用がかかるので実施されることはあまり多くありません。むしろ実際には,市町村役場で取得できる「固定資産税評価証明書」を利用したり,夫婦双方が「不動産業者の査定書」を証拠として提出してその平均値を採用したりすることが多いと思います。

現在ではインターネットを見ると土地や建物の無料査定を実施している不動産業者もたくさんありますので住宅の概算額を把握するには非常に便利です。

特に借地上の建物の場合,建物自体に借地権価額を加算する必要があるので「固定資産税評価証明書」よりは,「不動産業者の査定」を利用したほうが適正な価格を算出することできます。

もっとも,不動産の最終的な価格評価の決定日は,別居時ではなく,裁判の審理が終了する時点とされることが多いですので注意してください。

(3)住宅ローンが付いた不動産はどうなるの?

住宅ローン債務が残っているときの不動産価額の評価方法は,分与時点における不動産の時価からローンの残元金を控除する方法で決定するのが一般的です。たとえば,土地と建物の時価合計額が5000万円,住宅ローンが3000万円であった場合,差額2000万円が財産分与の対象になる不動産価額ということです。

分与の方法としては,夫または妻のどちらかが不動産を取得して住宅ローンの返済を続ける方法,親族等から資金援助による方法も考えられますが,金銭的余裕がない場合には不動産を売却する方法により売却金額を分与することになります。

ちなみに,夫または妻のどちらかが不動産を取得して住宅ローンの返済を続ける場合において,たとえば妻が不動産を取得する代わりに妻が夫から住宅ローン債務を引き受けたとしても,金融機関が債務者の変更に応じることはほとんどありません。

また,離婚に際して住宅ローンの連帯保証を解除するよう要望される方もいらっしゃいますが,金融機関からは新たな担保や連帯保証人の追加が求められるため,やはり実現は困難なことが多いです。

たとえは,夫名義の不動産(時価4000万円),夫名義の住宅ローン(ローン残高3000万円)があった場合に,離婚に際して妻に不動産の取得を認め,かつ,住宅ローンを引き受けさせて,さらに差額1000万円の2分の1である500万円の支払いを命じたとしても,妻が夫に金銭を支払う義務を負うだけで,夫の金融機関への支払い義務が消えるわけではありません。

(4)オーバーローンの不動産はどうなるの?

   不動産を売却する方法により財産分与を検討したとしても,近時は不景気の影響もあって不動産の時価より住宅ローン債務の方が大きいという,いわゆるオーバーローンの状態に陥っていることが多いです。たとえば,土地と建物の時価合計額が2500万円,住宅ローンが3000万円であった場合,不動産評価額はマイナス500万円になってしまいます。このように実質的に不動産の価値がマイナスになっている場合には大きな問題が残ります。

この点について,実務上,オーバーローン住宅だけで他にプラスの資産がない場合は,最初から財産分与を求めない方法が取られています。裁判例でもオーバーローンの不動産は財産分与の対象にならないとする判断が多数を占めています。

では,オーバーローンの不動産はどうなるのでしょうか。裁判例では,夫婦共有名義の不動産がオーバーローンであった場合に,ローン名義人が当該不動産を全部取得した例,あるいは,ローンが夫と妻の連帯債務であった場合に不動産の占有者に不動産全部を取得させ,その代わりにローン債務全部を負担させた例があります。具体的事案によって判断が異なってきますので,詳細については弁護士に相談するようにしてください。

 

投稿者: 名古屋大光法律事務所

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